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MOMOMO TEN
- アーティスト、デザイナー、音楽家、料理研究家などの個性豊かな10組の選者による「これもデザインといえるモノ・コトを」紹介する、"ももも展"のための会場構成です。
- ももも展におけるキュレーションは、モノそのものにフォーカスした展示ではなく、ボールペンやプラスチック・スプーンのように日常によく目にするものへと向けられた「まなざし」の展示とも言い換えることができるようなものでした。また、様々な肩書きの選者による「まなざし」は多種多様に及び、既に展示物が決まっていた展示ではなく、「何が出てくるか分からない」という状況に対応できる必要がありました。
- そのため、実際に展示してあるモノではなく、その背後にあるまなざしや、そのものが選ばれた背景に少しでも意識が向かうよう、いわゆる展示的な展示方法、つまりスポットライトやガラスケースではない、日常の延長としての演出方法を選択しています。ガラスケースやスポットライトという「鑑賞対象である」というサインを与える代わりに、スチールのフレームとマスキングテープの二種類の材料による「黒い枠で囲う」というルールによって全体を構成しています。目の前のありふれたモノに、黒いマジックでマークつけた瞬間に何か意味ありげなモノへと変化するように、できるだけそのままの状態でありながら、モノの背景に意識が向かうような展示方法を目指しました。
- 縦8×横42mの展示会場はオフィススペースがガラス越しに連続しているため、とにかく広い廊下、といったほうが正しいような性質を持っていました。実際、オフィスへと向かう動線の一部でもあったため、良くも悪くも展示用のスペースとオフィススペースの境界は非常に曖昧です。そこで、黒いマスキングテープで展示会場のアウトラインをなぞることで、「ここからここまでが展示ですよ」というサインを最小限の手数で示すと同時に、什器によって視線が塞がれてしまうことを避け極端に細長い会場の奥行きを生かすことができます。さらに、マスキングテープで囲われた壁や床のコーナーに目を向かせることで、(この壁)も?、(この床)も?といった具合に、会場に展示されているモノ達以外の"( )も"、の可能性を示すためのきっかけとして、展示空間そのものが機能する事を目指しています。
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